北海道へこの作品の題材を求めて8月23〜27日まで旅に出た。
目的地は二風谷と釧路湿原だ。
アイヌ民族との三度目の対話に。
二風谷は、菅野茂という故人になっているが、国会議員となりアイヌ民族の差別撤廃法など、めざましくその立場を訴え変える働きをした、つい最近の人の本拠地だ。
アイヌ民族博物館が建てられていて、その他には何もない、というのが良くて。
沙流川(さるがわ)という、アイヌの魂の象徴があるとても大切な、雄大な川がある。
が、そこに国がダムを無理やり建設し、反対運動と訴訟での勝利にもかかわらず、もう着工させていて後戻りできず、現在は護岸工事もすんで川は濁りきって無残な姿になっている。
そこで、目玉に光る照明が入った大きい白ふくろうが羽を広げて待っている、
「二風谷荘」へ泊まった。
1泊だけであったが、大きい出会いの場だった。
2つある博物館も良かった。菅野茂さんが丹念にアイヌを残そうと集めた、聞き取り録音・民俗の民具・家・舟・衣装、その数は膨大だというものを、立派な国が運営・建物と菅野茂の個人の名を配した個人運営の場所での建物だ。
そして、沙流川のダム建設のために無くなってしまった村・自然を残すための、博物館も隣接でこれ又立派なもので丁寧に展示があって、私は入ってみて良かった。
理由は、沙流川の壊された自然を、擬似模型でその横を車イスに乗ったまま、通れる仕組みだ。
本当の自然の中へは足場が悪くて、車イスでは、おいそれとは侵入はできないことが多いのだ。
樹木の匂いがして、通るだけでそこへいる気分になれ、不思議と実体験できたのだ!
きっとこれは、私は一生忘れない、と思ったほど。
ここ二風谷は、何もなさで返って至る所にアイヌの魂がいて、アイヌで言うカムイ(神)がどんなみすぼらしく見える物にも見えないところにも、それこそ有形無形に至るところに存在している。
白ふくろうは、アイヌでは、人の集落を守る神だと信じられている、という。
故菅野茂氏が残そうとしたアイヌの精神は、単に残すだけでなく、立派に現代に息づき求められるものに今後益々なるだろう、と、大きく人類の未来をも見守って照らしているのを感じた。
釧路湿原は、丹頂鶴を見るために訪れた。
これ又、見事な感激的な出会いをさせて頂く。文句なし!